すとんと刺さる

ゆるいおたくのよしなしごと

スタートを切る! ー舞台『弱虫ペダル』

個人的に気持ちの下がることはいろいろあれども、実際に見ると「やっぱり大好きだーー!!」と心が大の字になる作品を観てきました。前作からだいたい1年振り。シリーズを見始めてからそれだけの時間が空いたのは初めてで、けれど久しぶりに浴びた熱量に違いは何もなかったです。

「スタートを切る!」と始まったら泣いてしまうパブロフの犬

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇〜制・限・解・除(リミットブレイカー)〜

タイトル長い。

以下、ネタバレも含む感想です。

 

ペダステ好きだなー、面白いなー。と今回もまた思いました。知ってた!

原作も読んでいますが、ペダステは良くできているなあといつも新鮮に感心するところは、漫画原作が板の上の物語としてきちんと再構築されていることです。アニメでも映像でもできない、舞台だからこその作品になっている。それはペダステの代名詞となっているロードレースにおける演出面だけでなく、原作にあるエピソードを取捨選択して、ときには入れ替えたり挿入したりする脚本の構成力によるところも大きいと思っています。原作のストーリーを順繰りになぞるのではなく、そのときどきに合わせてエピソードを繋げたり切り離したり。

今回で言うと小さな峠の場面。原作では小野田くんがリアルタイムで見ているシーンを回想という形にしていて、これはあとで脚演のシャトナーさんのツイートで気付いたことだけど、それによって巻島と東堂の戦いがインハイでの戦いと本質的に繋がってくる。いわば原作の改変なんだけど、舞台での違和感はありません。このシリーズが今まで培ってきた信頼も大きいのだと思うけど。

いつもある冒頭の回想シーンもそう。毎回毎回、小野田くんの総北入学からを猛スピードで振り返っていて、でもまたかーという気持ちにはならないしなんならその回想だけで泣けてしまうのは、回想であってもこれは絶対というシーンを外さないからだと思う。原作への愛情と深い敬意を感じます。

今作で特に好きだったのがゴール争いのときの歌でした。「勝ちたい  君もそうなのか」みたいな歌詞。ペダルって勝敗に対してはすごくシビアというか、容赦のないところがあって、勝ちたい理由も気持ちも誰も同じだけあることを描くのに、それはそれとしてその都度勝ちと負けの結果ははっきり出てしまう。気持ちが足りなかったから負けたなんてことは絶対になく、なんなら実力が足りなかったわけでもない。ただ勝てなかったという事実があるのみなのです。

鳴子と今泉の関係が本当に、アツいしかっこいいしでたまらなかった…根っこでは信頼しあってるライバルなんて最高に決まってるでしょ!!鳴子くんはペダルで一番かっこいいと思ってるんですが、今泉くんの誇り高さも私はとっても尊いものだと思ってます。最後の最後まで、鳴子くんのかっこよさはとどまることを知らなかったです。

あとはなんといっても、巻島さん東堂さんの1年目インハイ以来の戦いです。

ペダステは今回もキャス変があって、それはもう仕方ないし卒業した先輩たちに至ってはそれはまあそうでしょうねという感じだったんだけど、ファーストリザルトでの踊るような2人のフォーメーションがそのままで、変わってしまっても繋がってるし受け継がれている、いなくなったわけではないんだと感じられて嬉しかったです。巻島東堂に限らず、坂道くんのフォルムとか、ところどころ塗装が禿げてきたハンドルとかも。

これからも、好きという気持ちだけでずっと見守っていけると思いました。観に行って本当に良かった。

ペダステでのお楽しみといえば雑女装ですが、久々にバシ崎兼子に会えて嬉しかったです!今泉親衛隊のDIVAも素敵だったけど、兼子は彼女たちより肉感的なのがまた違った魅力でいいですね!大阪でもドジっ子りょうちゃんと純子に会いたかったよ〜〜。どんどん雑にやってほしい。(でも天羽くんの女装も本気を感じて好きです)

小野田くんのキャス変には不安もあったんですが、糠信さんはすごく安定した坂道くんでした。今までの坂道くんより背が高いせいもあるかな、堂々とした坂道くんっぷりというか、鳴子くん今泉くんとの並びがすごく自然だった。糠信さん、これが初舞台というのも信じられないくらいだけど、これからの活躍も楽しみです。

あとはT2の安心感がもうすごい。鯨井キャップはもうこの舞台の柱と思ってるけど、青八木さんの八島くんも今や欠かせないなあと思います。どうでもいいけど、私鯨井さんの声がすごく好きなんですよね…特に青八木と手嶋が会話する場面での「俺の震えを止めてくれるか」という台詞がまあ色っぽくて聞いてはいけないものを聞いてしまった気になりました。ごめん。

でも一番はやっぱり鳴子くんかな〜〜。贔屓キャラはカブなんだけど。鳴子くんはもうインハイ始まってからずっと、かっこよくない回がないからすごい。最初から最後までかっこよかったです。さくくんのちょっとざらっとした声での台詞回しは、派手さもありつつクールでもあり、鳴子くんの強さ、冷静さ、そしたやっぱりかっこよさが余すことなく詰まってる。鳴子くんが一番かっこいいよ!と心から思います。

そうだ、初めての会場だった浪切ホール、花道演出を観ることができたのは良かったです。端の方の席からでもわりと見やすかったかな。

 

原作では2年目のインハイも決着がつきました。ペダステもなんとかそこまでたどり着いてほしい。次はまだ決まってなさそうだったけど…

一回本物を見てごらんよ!と大きな声で言いたいです。板の上で全力で走る姿、床に落ちる汗の量。スロープが動くだけで道はどこまでも先に延びていく。最小限のセットと、照明と、音楽と、役者の演技だけが舞台上にある。

そういう作品です。

あと最後の最後にはペンラも振れる!

そういう作品ですペダステ!!